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タンノイのエジンバラ
 
 

タンノイのエジンバラ [単行本]

長嶋 有
5つ星のうち 4.4  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)

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  『猛スピードで母は』で芥川賞を受賞した著者の受賞後第1作となる本書は、表題作を含め4つの作品を収録する短編集である。

   同じ団地の隣家に住む風変わりな女の子の世話を押しつけられた男と彼女との、ひと晩の交感を描いた「タンノイのエジンバラ」。3人姉弟と義理の母親との確執を描いた「夜のあぐら」。半年前に結婚した主人公と妻、半年前に離婚した主人公の姉の3人組によるバルセロナ観光の物語「バルセロナの印象」。そして、パチンコ屋の景品係としてアルバイトをする主人公女性のバイト仲間との日常にスポットを当てた「三十歳」。現代家族と個人の関係のありようが、長嶋有ならではの独特の視点と状況設定によって描かれる。

   作者の筆が描き出すのは、失業中の男と少女の束の間の疑似家族的な関係であり、普段は疎遠の姉弟が目的を達成するためにいっとき結束することから始まるドラマであり、海外という逃げ場のない空間での肉親者同士の緊張関係であり、著者自身の年齢にも重なる30歳という微妙な年齢に達した女性の内面の物語である。

   長嶋文学の核心には家族小説の枠組みがあるが、この短編集でも家族ならではの微妙な距離感や感情のせめぎ合いが、物語のバリエーションを形づくる動機となっている。漫画家の高野文子による印象的な挿画と本文イラストも、現代的な技巧性に満ちあふれた作品世界にフィットしている。(榎本正樹)

内容(「BOOK」データベースより)

隣家の女の子を押しつけられたり、実家の金庫を盗みに行くはめになったり。人生には、そんな日がめぐってくるのだ。話題の芥川賞作家、待望の最新短篇集。

登録情報

  • 単行本: 208ページ
  • 出版社: 文藝春秋社 (2002/12/6)
  • ISBN-10: 4163214909
  • ISBN-13: 978-4163214900
  • 発売日: 2002/12/6
  • 商品の寸法: 19 x 13.4 x 2.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.4  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 757,911位 (本のベストセラーを見る)
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11 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
芥川賞作家の最新短編集。4つの物語に登場する主人公はみな違う人物
だけど、年齢的・やる気なさ的にどうにもこうにも自分に重ねて読んで
しまいがちだ。所謂「ちょっと冷めた感じ」の性格で積極性を発揮する
ことなど滅多にないようなヌボーッとした人たちが、隣家の女の子を
押し付けられてあずかるはめになったり、実家の金庫を盗みに行くはめに

なったりする。

私は通ではないので知らなかったが、タンノイのエジンバラとはイギリス
タンノイ社というオーディオメーカーのことで、エジンバラとはそこで
製作されたAV機器であった。この製品は実在し、インターネットでついつい
その実像を眺めてしまった。昨年で販売中止となったらしいこの勇姿も

登場するこの短編は、淡々と日常を描いているようでしっかりとした
後味が読者には残ると思う。

自分も今や立派な30代。なにか大きな目標をもって進んだことのない人間
だけに、どこかしら主人公には励まされるような気がしないでもない。

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13 人中、11人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By ガアタ VINE™ メンバー
形式:文庫
今を生きる人たちの、特にすてきでもすばらしくもない人生を送る人たちのことが書かれています。

つまらないような日常を送る人たちですが、その人たち自身がつまらない分けではもちろんなく、読み終えると、じん、とします。今の時代を描く、ことに成功していると思います。

さらさらと流れていきますが、内容は薄くありません。
このレビューは参考になりましたか?
2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 101
形式:文庫|Amazonが確認した購入
主題含む4作、ある意味、日常に近い非日常の設定。

淡々とした話の展開に盛り上がりとかは決して感じられないのだけれど、
だからこそ逆に、少しずつ積み重なっていく人物像に思わずシンクロしてしまう。

強くないけど優しい想い、自分の性格に戸惑を持ち続けていることなど、
それぞれの人間らしさが、静かにじわっと伝わってくる作品ばかりでした。
「サイドカーに犬」が好きな読者はいいかも。
こういうの長嶋さんはとても巧いと思う。

読了後は、雨あがりに陽射しを垣間見た気分になりました。
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