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9 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
最後の最後まで謎また謎に満ちた、重厚な逸品,
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レビュー対象商品: タンゴステップ〈上〉 (創元推理文庫) (文庫)
’08年、「このミステリーがすごい!」海外編第6位にランクインしたスウェーデン発本格ミステリーと国際的社会問題小説が融合された重厚な作品。
主人公であるステファンは37才の警察官。最近舌がんがみつかり治療までの間休暇をとることになるのだが、かつての同僚で今は引退したモリーンが遠く離れた中部スウェーデンの深い森のなかの家で惨殺されたことを知り、自身の病気で落ち着かない彼は現地に向かう。彼は地元警察と協力しながらも個人的に調査を行い、いくつもの秘密を発見するのだった。 そこから本書の謎に満ちたストーリー展開が始まる。まず、なぜモリーンは人里離れた森の中で隠遁生活を送っていたか。そしてなぜ、奇妙で残忍な殺され方をしたか。そしてすぐ近くで第二の殺人事件が起きる。モリーン殺害の犯人はなんと第二部ではじめから登場する。しかしその男は二人目は殺っていないのだ。では、誰がなぜ・・・。ここでアルゼンチンから来たこの男の第二の殺人事件の犯人探しも始まる。物語はただでさえ癖のある関係者たちに加え、モリーンの娘ヴェロニカの登場でさらに一層複雑な展開となる。 やがて事件はどうやら第二次世界大戦のナチス、そして現在もなお息づくナチズムの信奉者たちが関っていることがわかってくる。 病におびえ、死に恐怖するステファンが、まるで逃避するように事件に傾倒していく姿を縦糸とすると、最後の最後まで解決されない、先の見えない謎また謎の連続が横糸と言えるだろう。 本書は、ヘニング・マンケルの看板シリーズであるヴァランダー警部ものからはなれた単発の書き下ろしだが、スウェーデンの夕刊紙が選ぶエクスプレッセン賞やベスト・ヨーロピアン犯罪小説賞などを受賞している、読み応えのある傑作である。
5つ星のうち 4.0
早くも「犯罪小説のクラシック」というのも頷ける,
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レビュー対象商品: タンゴステップ〈上〉 (創元推理文庫) (文庫)
スウェーデンの作家による本作品は、2000年発表、2008年邦訳。ストーリーの本編は、スウェーデンの北部ヘリュダーレンで、ヘルベルト・モリーンという老人が惨殺されるところから始まる。 同国南部のボロース警察に勤めるステファン・リンドマンはこの事件のニュースに驚きを感じた。 老人は、警察官としての先輩だったからだ。 舌癌の療養のため、休暇を取っていた彼は、ヘリュダーレンを訪れ、独自に捜査を開始するが…。 【ミステリとしての面白さ】 この作品、読み始めてすぐに、登場人物達をじっくりと描写する、手堅い筆さばきに驚かされましたが、ミステリ的に面白くなるのは、上巻の半ばを過ぎ、第二部に入ったところから。 何と、あっさりと「犯人」が登場するのです。 ならば、「倒叙もの」かと思いきや、確かに、「倒叙もの」でありながら、フー・ダニット、犯人は誰かという謎も混在するという興味深い趣向となっています。 ただ、本格ものにあるような、「どんでん返し」や「トリック」とは無縁です。 【社会派ミステリとしての骨格】 本作品は、日本の小説の分類に無理矢理当てはめれば、「社会派推理」と言えるでしょう。 プロローグでは、1945年、ドイツ人戦犯の処刑シーンが描かれており、「ナチズム」が主要なテーマ。 スウェーデンの歴史を紐解いてみると、第2次世界大戦には参加せず、中立政策をとっており、小説の中でも主人公のステファンはそのように教育を受けた、となっています。 でも、決してナチズムとは無縁ではなかった−−ということで、スウェーデンの秘められた歴史に迫るのが、本作品です。 このため、スウェーデンの人達にとっては、つらい内容ではだったのでは、と感じますが、結果はスウェーデンだけでなく、ドイツでもベストセラーになったとのことです。 「訳者あとがき」にもあるとおり、「ヨーロッパ人の懐の深さを感じ」させる傑作がここにあります。
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