本作のロードショー当時は、「ポセイドン・アドベンチャー」や「エアポート75」などのパニックものサスペンスが流行っていた。
これに、さらに「グリズリー」やら「ジョーズ」などの動物パニックものも加えると、ホラーブームの前の一時代を築いたと言っても良い。
日本でも「日本沈没」や「地震列島」など、いくつかのパニックものが作成された。
東映の「新幹線大爆破」なんかも、この範疇に入れて良いかもしれない。
そして、満を持してオールスターキャストで制作されたのが、本作だった。
それからもう何十年か、本作に出演した役者も、ずいぶんあの世に旅立ってしまった。
なにしろ、主役のポール・ニューマンとスティーヴ・マックィーンの二人が、すでにこの世にいない。
この二人、作品中では四六時中ぶつかり合いながら、しかしこの未曾有のパニックの沈静化に命を惜しまないという、まさに体を張った演技で、実にかっこ良かった。
ストーリーは簡単で、超高層ビルの最上階でパーティー開催中に、途中の階から出荷する。
パーティー出席者たちが、いかにしてこの超高層ビルから脱臭するか、そしてこの鎮火不可能な火災をいかにして鎮火させるのか、というのがストーリーの骨子である。
とにかくもう、どう手を尽くしても助からないんじゃ、という感じなのだが、そこに敢然と立ち向かうのが消防士のエースであるマックィーンである。
さすがに、体力勝負の役をやると、生き生きしている。まるで、サニー千葉チャンみたいだ。
つまり、純然たる肉体派という設定である。
ビルの設計者であるニューマンの方は、ビルを隅々まで知り尽くしているから、その沈静化に対するあの手この手を考え出す。
つまり、マックィーンの肉体派に対する頭脳派という役回りである。
そのあの手この手が、どんどんと悪化する状況の中で、次々と後手後手に回ったり、個人のエゴ丸出しによって失敗していく。
そのあたりが、実にサスペンスフルなのである。
本作のほとんどの場面で火が燃えているので、画面はオレンジ色が鮮やかである。
しかし、本作を見終えると、その暖かいオレンジ色が嫌いな色になってしまう。
そのくらい、本作における炎の破壊力と暴力性は、すさまじい。
そして、ラストは・・・・これはナイショにしておくが、キチンと落ちがつく。
ニューマンとマックィーンが、やったな、という感じで、男同士の、男にしか分からない無言のシンパシーを見せるのである。
これが実に良い。
なにより、オールスターキャストが嬉しい。
リチャード・チェンバレンが悪役で出演するし、ウィリアム・ホールデン、フェイ・ダナウェイ、フレッド・アステアみたいなビッグネームが、ばしばし登場する。
そして、ジェニファー・ジョーンズは途中で・・・だし。
ハリウッド映画をたくさん見ているひとほど、懐かしい知っている役者が登場するのが楽しい。
原作本は当時、早川書房から二冊刊行されていた。
「そびえたつ地獄」と「グラス・インフェルノ」というタイトルだった。
この二作品の良いとこ取りで作成された本作は、本編は長いが、それだけの見応えのある作品である。