タミヤの新1/350大和を対象にしたHow to本ですが、「製作ガイドブック」を銘打つだけあって非常に実用的に出来ています。
全ページカラーで各工程を説明する内容ですが、比較としての旧作大和の作例、キットを基本的にスタンダードに組んだもの、デティールアップを施したものが併載されており、タミヤの1/350キットに挑戦する人のニーズに合わせたノウハウや情報が得られる点は評価できます。
またディティールアップパーツも、基本的にメーカー純正のものや安定して流通しているファインモールド社のナノドレッドシリーズの利用に止めており、その点も実際に参考にするモデラーの大半の水準を考慮したものと言えるでしょう。
一方で、内容的にはあくまでも「製作ガイドブック」であり、実艦に対する考証や紹介は少なく(小さいコラムで一般的な情報が紹介されている程度です)、現在でも意見の分かれる甲板暗色塗装や、煙突の菊水マーク、非理法天の幟の有無などには突っ込んだ考証はなされておらず、全体に制作者なりの主張や作家性といったものは希薄です。これは本書が優れたHowto本であることの裏返しでもありますが、考証にこだわる読者には物足りない部分があるかもしれません。
全体に初心〜中級者がタミヤ新大和のキットに取り組むには十分な内容と思いますが、上級者にとってはキットの説明書が丁寧になってカラー化された程度のものに見えるかもしれません。この点について、もう一段の配慮があれば☆5つの内容だと思います。
もちろんタミヤのキットに取り組むための適当なガイドブックを求める人や、大和にかぎらず、これから大スケールの艦船模型を始める人にとっては非常に有益な本であり、☆5つの評価も大いにあり得ると思いますので、☆一つ分の差は利用する人の技量やスタンスの差と考えて下さればよいと思います。