手前味噌かもしれないが、能登や北陸の旅を心底楽しみたいなら、本書のような観光の実用目的のための本の他に、もう一冊、心象風景を助ける本を所持していくことをお薦めする。それが「宇宙に開かれた光の劇場」上野和男・著という本である。17世紀のオランダの画家・フェルメールがなんで能登や北陸と関係があるのと訝られるかもしれない。それがおおありなのだ。蜃気楼が見え、江戸川乱歩の「押絵と旅する男」の舞台になった魚津、ホタルイカの滑川、宇出津のキリコ祭り、そして松本清張「ゼロの焦点」の能登金剛、これらに共通するキーワードは”光”という心象風景になっている。フェルメールが光の魔術師と呼ばれるように、能登、北陸を旅するとは、とりもなおさず”光を旅する”ことに他ならない。