タックスヘイブンの役割、影響力を包括的に理解する上で格好の書だ。世界経済を必要以上に不安定にしている「規制を受けない投機資金」が、タックスヘイブン国を隠れ蓑に、ますます増殖している。金融自由化の美名の下、金融ノーハウで一歩先んじる米英をはじめとする金融強国およびその影響力化にあるIMFがこの流れを支持し、加速してきた。その投機マネーは、どこにどれほどあるのか、タックスヘイブン国の秘密主義のおかげで、その実態は誰にもわからない。タックスヘイブンは、単に世界経済の安定を脅かしているだけではなく、莫大な資産隠匿、脱税の温床でもある。なぜ世界的にこれを規制しようとしないのか? これを利用して莫大な利益を得ている既得権者(国、企業、富豪など)の抵抗が大きいためだ。最後に著者は「事態は動き始めている!」と書いているが、事態を動かすには、世界的な社会運動の必要性が示唆されている。翻訳もこなれていて読みやすい。