H.G.ウェルズの「タイム・マシン」の続編として書かれた佳作.80万年未来ではぐれたエロイ族の少女をモーロック族から救うためにタイム・マシンで再び未来に向かった時間旅行家のその後を壮大な宇宙論と共に描いている.本作で主人公はタイム・バラドックスに翻弄され,種々の並行宇宙や宇宙の誕生までも体験する.作者はウェルズの遺族の公認をとりつけて本作を執筆したそうだ.彼ならではの量子論を駆使した読み応えのあるハードSFに仕上がっている.ウェルズの前作では退化した労働階級として描かれていたモーロック族が「超文明」種族として登場するという奇抜なアイデアを採用し,その一員と主人公との奇妙な交流を主軸にした物語も読者を飽きさせない.