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これはもともとロンドンのある古書肆で入手した原稿で――という、もっともらしい書き出しのあとには、あの時間航行家が登場してきます。なんと彼、また時のはざまにすべりこんで行ったというのです。つまりこの本は『タイム・マシン』の続編なんですね。
彼はまた未来の世界へゆき、エロイ族やモーロック族に会うのです。でも未来の世界は、前に来たときとはちょっと容子が違います。以前には地下でいやしく暮らしていたはずのモーロックが、今度めぐり会ってみると知的好奇心にとみ、洗練された文化的な種族だったりします。しかもこの時間航行家のはるかなる旅は、今度は未来にはかぎられないのです。
巻頭、H・Gの思い出に――と記されているように、この物語にはウェルズ作品への追憶が随所にちりばめられているようです。それは巻末解説に詳しく、わたしもふむふむと言いながら読みました。
見所はたくさんありますが、やはり賢いモーロックが印象的です。知的好奇心って、たましいにとってすごい原動力だなあと思わせられます。またタイム・パラドックスについて書かれたあたりもおもしろく、時間SFの醍醐味みたいなものも味わえると思います。
そうそう動力といえば、タイム・マシンの作動原理としてプラトナーライトという謎の物質が登場してくるのですが、時間航行家にこの物質を与えた人物もまた、しかけられた謎のひとつであります。
なかなかの長編ですが、H・G・ウェルズの『タイムマシン』をお読みになった方はぜひどうぞ。ラストはとってもいい感じです。時間航行家が一輪の花の印象を忘れなかったように、あなたもあの清楚な印象をその胸に忘れずにいてくれたのなら。
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