チキガリは日本の男声アカペラ・グループの草分けだと言われています。一般的に知名度は低いかもしれませんが、1990年からグループを組み、20年近く活動してきたメンバーですので実力はピカ一です。ハーモニーの安定度の高さは特筆すべきものだと思っています。プロだから完璧なハーモニーを要求するのは当たり前のように思えるかも知れませんが、メンバーの実力が拮抗しているからこそ、この魅力的で精緻なハーモニーが生まれるのですから。
リード・ヴォーカルは時折変わりますが、原曲のイメージを残した見事な歌唱で、各人の溶け合い方は絶妙とも言えます。ゴスペラーズのようにヴォーカリストの個性を全面に出す、という手法とは真逆の非常に正統派ともいえるアプローチの結果生まれたものでしょう。
このアルバムは、1960年代後半に熱狂的なブームを巻き起こしたグループサウンズの有名なヒット曲を、アカペラにアレンジしたものです。各曲の特徴を上手くとらえ、当時の雰囲気をアカペラで再現してみたらこうなりました、という趣向です。当然のことながらオリジナルより、はるかに歌唱力は安定していますし、曲ごとにアレンジとリード・ヴォーカルが変わりますので何回聴いても飽きません。繰り返し聴きたくなるような高い完成度を誇っていますので。
ラストの「いつまでもいつまでも」は寺尾聰がいたザ・サページのデビュー曲で、この演奏が特に良かったですね。高声部の密集和音が奏でるハーモニーの輝きは原曲のもつ懐かしさや切なさをストレートに届けてくれました。GSファン、アカペラファンの両方から支持される内容だと評価しています。