週刊SPAや日経アソシエ等での連載で知られる「タイツくん」の生みの親・松岡宏行氏の起業体験を綴った本。
「起業」というと、「潜在需要を発見する」とか「新製品を発明する」ことから始まってビジネスモデルを構築していくというイメージがある。つまり、これは売れる、これはイケるという目論見をいかに実現していくか、だと考えていた。
逆に言えば、そういうものが発見できなければ、起業はできないと思っていた。しかし、松岡氏のケースを見る限りは、明確な事業コンセプトとか方向性とかいうものは必ずしも起業時には必要ないのかもしれないと思えてきた。
もっとも、あまり「考えず」にスタートした分、その後はかなり「頭を使う」ことになり、さまざまな悲哀を噛みしめることに・・・。そのあたりをリアルに記していることも「哀愁の・・」というタイトルにつながっているのだろう。
但し、「考えて」いなかったのは「将来像」とか「事業の方向性」であり、自分やその時々のクライアントになにが必要かを突き詰めて考えて実行し続けたことが、結局は彼を成功(本人は謙遜し否定するが)に導いたのではないか、という読後感が残った。オススメです。