本書は日本の歌謡曲の芸術面ではなく産業面に焦点を当てて書かれたものだ。昔、フォーク歌手がテレビ出演を拒否していた理由がテレビvs.ラジオであったとか、日本テレビの番組『スター誕生』の誕生の理由が日テレvs.渡辺プロだったとか、それぞれの‘歌謡曲下’で様々な争いがあったことが分かりおもしろく読める。
欧米のテレビ局が音楽著作権を持って収益を得ることを禁止している理由は納得のいくものではあるが、日本ではそれが当たり前になっており誰もそれで困っていないのだから見直されることはないのだろう。ただJ−POPがワールドワイドにならないだけだ。
『ジョンとメリー』(ピーター・イエーツ監督)が日産のスカイラインのキャンペーンに利用されて、フォークデュオBUZZによって「ケンとメリー」という曲まで作られているとは知らなかったが、同じ映画にインスピレーションを得た大塚博堂は「ダスティン・ホフマンになれなかったよ」という彼の代表曲を残している。
松任谷由実や松本隆などニューミュージック陣営の楽曲を積極的に取り入れて大成功したのは松田聖子だが、その2人が歌謡曲に踏み込む最初のきっかけとなったのはアグネス・チャンだと思う。