涅槃つまり心の安らぎを得る方法は簡単だと原始の仏教は教える。「あらゆる生きる欲望を停止する事」つまり生きる欲望があるから心の安らぎが得られないのだからなくしてしまえばいい。なくしてなおかつ生きるよう自分を鍛える。という事。ブッダは悪魔祓いでも最高とされるが悪霊、悪魔の類は「生きる欲望」につけこむもので「生きる欲望」のないブッダには通用しない故に最強とされる。著者は原始仏教に近いタイを訪れ殆どのタイ人が熱心な仏教徒でありながら涅槃というブッダの救済を望まず僧侶に功徳を積むとか一時出家する事で功徳を積みそれで楽園に生まれ変わってまたただの人間をやりたいと望むと言う。この仏教的救済の二重構造をつくったが故に原始に近い形が保持される。ただ著者は人間の生きる欲望をなくす事が救いだとするブッダの救済論は人間存在への痛烈な皮肉であると投げかける。