逆説的に聞こえる「マーケット分析は無意味」というような表現もあり、読み始めは、「ゾーン」にどれほど効果があるものか半信半疑になってしまう。ところが、読み進むうちに、著者のアドバイスの有用性が次第にわかってくる。「トレードに勝つことは誰にでもできる」が、「一貫して勝つためには心理状態が必要」という表現も、最初は禅問答にしか聞こえない。これも、7章「トレーダーの優位性」のあたりまで読み進むと、確率的思考法という概念とともにすんなり受け入れられるだろう。負けトレードで悪い情報を意図的に避ける、マーケットに対して期待や裏切られたといった感情を抱いてしまう凡庸なトレーダーの例には、耳が痛い人も少なからずいるはずだ。
概念の説明に用いられている事例はわかりやすくて説得力がある。たとえば、著者が力説する、認識が判断にいかに影響を与えるかというくだりでは、蛇を怖がる大人と怖がらない子ども、犬を初めて見た子ども、お金をタダであげると書かれた看板を持って町に出たテレビ番組のスタッフ、といったユニークな例が用いられている。こうした事例を通じて、正しい判断を疎外する認識を、当初は意図的に、ゆくゆくは無意識のうちに、排除することの重要性がわかってくる。
11章後半には、「ゾーン」を身につけるための段階別実践法が示されている。読み終わると、訳者が「明鏡止水の境地」と表現した、この心理状態に近づくことができた気になるから不思議だ。(河野幸吾)
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14 人中、14人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
この本の価値はその人のレベルの範囲内でしかわからない,
By 美詩 (千葉県) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: ゾーン 相場心理学入門 (単行本)
相場(に限らず何事についても言えることだが)はその人のレベルの範囲内しかものは見えないといえるが、この本の価値もその人のレベルの範囲内でしかわからないといえる。著者は読者に対し深く理解させようという姿勢で書かれているが、そのことが逆に難解な表現と冗長に感じられる要因にもなっていると思われる。 難解に感じられるのは翻訳にもあるのかも知れないが、そんなことは真剣にトレード(投資ではない)を身に付けようとする人にとっては些細なことにしか過ぎない。 何度も何度も繰り返して読めばわかるし実際にそうしなければならない。1度や2度読んだだけで完全に理解できるものではない。 私もすでに10回ぐらい繰り返して読んだが読む度に少しも理解していなかったと悟るのである。完全にわかるまでには100回ぐらい繰り返さなくはいけないかも? トレーダー(投資家ではない)として成功した人なら、この本を読んだことの有無にかかわらず、この本で言うところの‘ゾーン’という心理状態は身に付けているはずである。 この本では読者はすでに優位性のあるトレード手法は持っているという前提で書かれている。それらの手法は他書で学ぶ必要があるし実際多数あります。 私のトレード手法は変えていないにもかかわらず、僅かながらもゾーンという心理に近づくにしたがってトレード成績は飛躍的に向上しました。 トレーダーとして成功したいなら必ずマスターしなければならない内容といえる。翻訳がどうのと言っているようでは論外である。 世の中には楽々と明日にでも億万長者になれるかの相場書が氾濫しているが、はたしてそれらを読んで本当に儲かったであろうか? トレードはとても難しくそれで利益を蓄積するのは容易ではないし、それを学ぶための本がそんなに簡単なわけがない。 トレーダーとして成功するためには意を決してそれ相応なレベルのものを学ばなくてはいけないというのは当然であり常識でもあろう。 この本が難解な表現と冗長さがあることは読んだ人なら誰でも認めるに違いない。 それにもかかわらずわかっている人は高く評価します。 その理由はトレーダーとして成功するための核心に触れているからに他ならない。 成功していない人を成功に導く本でありながら、成功した人ならこの本の価値はわかっても成功していない人にとって価値がわかり難いというのが問題である。
39 人中、35人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
一読の価値はあるが、ちょっと冗長,
By
レビュー対象商品: ゾーン 相場心理学入門 (単行本)
「マーケットのしたいようにさせておく」「私たちが求めている一貫性は、自分の心の中にある。マーケットの中にはないのだ」「トレードを単なる確率のゲームだと確信したとき、正解・不正解の概念と価値前の概念は、もはや同じ意義をもたなくなる」。この本のタイトルにある「ゾーン」というのは、恐怖心のない無心の状態のことを指す。本書は、その境地に達するトレーダになることの意味と重要性、そしてそのような境地になるための啓示をまとめてある。 (1).何事も起こり得る。 (2).利益を出す為には次に何が起こるか知る必要はない。 (3).優位性を明確にする一定の可変要素には、勝ち負けがランダムに発生する。 (4).優位性があるとは、あることが起きる可能性がもう一つの可能性よりも比較的高いことを示しているにすぎない。 (5).マーケットのどの瞬間も唯一のものである。 全編を通して、主張は一貫している。なにより著者の熱い想いが伝わってくる。 反面、本書はちょっと冗長過ぎるように思う。同じ主張が何度も出てくるし、説明もかなりくどい。気持ちの入った本だが、一歩引いてまとめれば、本来こんなにページ数を必要とする内容ではない。人によっていろいろな受け止め方があると思うが、読んでいてだんだんうんざりしてきた。まあ、そうやって手を変え品を変えて強調しているからこそ、著者の信念が強烈な印象として残るようになっているという側面もあるが。
78 人中、68人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
心のガン細胞の治療読本?,
By
レビュー対象商品: ゾーン 相場心理学入門 (単行本)
本書の目的は、「一貫性のある勝つトレーダーになる」ことである。そのためには、「ゾーン」の境地になる必要があると言う。「ゾーン」とは、一体何なんだ? ということを、いろいろな例を挙げながら、くどいほど解き明かしていく、心理ミステリーのようでもある。そして、読み終わった時には、それまでモヤッとして霧に包まれていた心が、スッキリと晴れているのに気づくかもしれない。 結論は、マーケットは確率の世界であるということだ。優位性のある、すなわち勝つ確率の高いタイミングでエントリーした後は、ただ単純に損少利大の回数を重ねて、その得失差による利益を増大させていくだけである。そのためには、一回ごとの勝敗に一喜一憂せずに、淡々と無味乾燥な心でトレーディングできる境地になる必要がある。そのような「ゾーン」の境地になれるかどうかは、あなたのマイナスの信念をプラスの信念に変換できるかどうかに係っているというのだ。 マーケットに対して、心のガン細胞である、そういったネガティブな信念が根付いてしまわないうちに、そして、早期治療するには、初心者が早めに読んでおくべき書であると思う。
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