イタリー製のゾンビものだが、ロメロ版のそれとはなんの関連もない。
地方の古城に訪れたバカップル6人組(プラス1)がゾンビの群れに襲われ籠城する展開は、もろに先達ロメロの『ナイト・オブ〜』的で新鮮味に欠ける。
本作のゾンビは動きがあまりに鈍く、ガビガビに乾燥した顔には、ほどよくウジがたかり、ぽっかり空いた眼窩から糸ミミズをしたたらせており、怖いというより汚いといった方が正解だ。
一部ヘタクソな演技をする役者がおり(ゾンビを攻撃しているのに、まるで力が入っていないうえ、しまいには自分から捕まりにいっている体たらくぶり)、やる気のなさが、どうにも低俗を脱しきれない。ただ、低予算のB級ホラーは星の数あれど、忘却の彼方に押しやるには惜しい味わいがあるのもたしか。一度見たら忘れられない風貌の『あの少年』ことピーター・バーク(とはいっても、撮影時、25歳だったそうだが)扮するマイケルがゾンビそっちのけで強烈なのだ。1・9分けしたおかしな髪型、生気のない生っちろい肌、ぎょろりとした目ん玉、黒いハイネックの上着のスソをジーンズにたくしこんだ痩せっぽっちの姿は、もう存在そのものがホラー。城に侵入してきたゾンビに恐怖するアップ画面は、正直ゾンビよりもゾンビチックだ。
物語の中盤、ゾンビと化したレスリーに風呂場で半解体され、最後の大工の工房では、ホントにゾンビのお仲間になられ、母親との再会を果たす。
「オー、マイベイビー、マイコーッ!」母は抱擁を求めるが、息子はかつての優しさを失っていた。母のふくよかな胸をまさぐると、感極まった彼女は、昔のように吸いなさい、と乳房をあらわにするも……。
マイケルが母の乳房を噛み切るシーンが本作のすべてを象徴していよう。どちらに転んでも救いのない展開はまさに悪夢的で、絶望感を味わいたいならおなか一杯になれること請け合い。