本書はミャンマー山奥の使役ゾウキャンプとそこでの生活を記録した迫真の写真ルポである。
ゾウのもの悲しげな目、子犬の撮影者(著者)を見つめる興味深かげな表情、目と鼻だけを水面に出した水牛の様子。ミャンマーの種々希少動物や雄大な山地写真。主題である使役ゾウの多くの写真等々。著者のやさしい眼差しがとらえた写真と記録文である。著者は何度もミャンマーに通い取材をとおし、ゾウの集材キャンプの年間カレンダーやゾウ使いの七つ道具、作業の工程、ジャングルクッキング、山の精霊への祈り等を読者にうまく説明しているし、民族による違い等も記録しておりこの分野の非常に貴重な記録だと思う。また、著者はユーモアのセンスが抜群で、数ページに一か所ふきだして笑えるたとえ話があり現地の素朴な生活を読者へつたえるうえにスパイスをきかせている。
さらに幹線道路をはるかに離れた山奥のゾウを使った集材キャンプの食(食料)・住(住居)すべてを周囲の自然から調達する素朴で巧みなゾウ使い達の生活の記録をみていると、昨今ライフラインの断たれた都会の脆弱性と対照的で気づかされる点が多い、本書末文の「ミャンマーの森は、(先進国が)学ぶべきヒントがいくらでも埋もれている、、、」がそれをよく表していると思う。
著者には近著「ゾウと巡る季節」という写真集があり、それとあわせて読むと視覚的にもより理解が深まると思う。昨今、観光ガイドのようなミャンマーの写真集が出版されているが、本著はそれらとは一線を画し、ミャンマーの山奥の集落、ゾウキャンプ、ゾウ使い、小動物らへやさしい目を注ぎつつ、危険な奥山での取材を続けた、まさに雄々しい硬派な写真報告である。