無条件降伏とソ連の侵攻――。これらを招いた根本には「日本の指導層の無能無策」があると著者は言い切る。「起きてほしくないことは起こらない」とする裏付けもない楽観主義は、対日参戦を決めていたソ連に終戦の仲介をすがるという絶望的な軍部の決断につながった。
前著『ノモンハンの夏』に続き、著者は怒りを抑えた冷静な筆致で、日本の指導層の国際常識と責任感の欠如を、史実を丹念に拾い集めることで明らかにした。それは「第2の敗戦」とも称される、ここ数年の金融政策の失敗の本質とも似ているようだ。
(日経ビジネス1999/8/30号 Copyright©日経BP社.All rights reserved.)
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まず日本だが、対日参戦をすでに決めていたソ連に対して終戦の仲介を工作したり、ポツダム宣言受諾が即ち降伏だと思い込んでいたことなどに見られる、国際情勢の見誤り、国際感覚の欠如、楽観主義、無責任主義など、国家滅亡の危機に際しての体たらくは呆れ返るばかりである。このときと同じような状況は、現在も進行しているのかもしれない。
ソ連が行った満州における日本資産の処理やシベリア抑留は、米国を含めた連合諸国でさえもそこまで予測していなかったことから、日本の無能無策のせいばかりとは言い切れない。この時のことからソ連(現ロシア)の本質が読み取れるばずである。ソ連の参戦によって被った被害は計り知れないが、せめてそれを教訓として、今後の対ロシア政策に生かして欲しいと願う次第である。
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