この本は、「ソーシャルコマース」を実現するための技術を紹介するテクニカル本ではない。ソーシャルという時代のキーワードに関連する事象を並べて、考えを整理するきっかけを与えるための本だ。そのため、ある程度の整理はしてあるものの、正しく自分の役にたたせるためには、各自の読解・分析・想像と、それらを裏付けるための経験が必要だ。
本書では、その言葉としての「ソーシャルコマース」の定義よりも事例をたくさん出すことに終始している。たとえそれがソーシャルではなくても、紹介したいという気持ちから事例に乗っているものがある。これは、著者のすこしでも役にたててほしいという気持ちからだろう。
前半にある豊富な事例は、ソーシャルメディア、ソーシャルコマースがまだ、一般的でない日本よりも常に1歩先をいく米国が主になっている。
ソーシャル=FacebookをイメージするくらいだからFacebookでの事例がたくさん載っている。ただし、Facebook内で買い物ができる仕組みを提供したからと言って、すぐに売上に貢献するかどうかは怪しい。実際「売上があがるわけではない」とさえ言い切っているくらいだが、そこで生み出されるコミュニケーションの密度は、確実に消費者の満足度を上げるに違いない。
後半ではソーシャルコマースの旗手といえる人たちへインタビューして、具体的な数値から概念的な話までを聞くことができる。
このインタビューでは、具体的な数値を話してもらっているので、勉強になる人も多いだろう。たとえば、Facebook担当は何人いるのか?とかだ。
そんな事例を見ていくうちに、なんとなく気づくことがあれば「ソーシャルコマース」という波の乗り方を見よう見真似で身につけられるのではないだろうか。