オスカー・ピーターソンというと「トリオ」と続くわけで、ソロのアルバムは珍しく、実際このアルバムは彼にとって初めてのピアノ・ソロ作品となりました。1968年4月、ドイツでの録音ということです。音にこだわる彼らしく、MPSは優れた録音の多いレーベルです。実に臨場感あふれる演奏を聴くことができます。
言わずと知れたジャズ・ピアノの巨匠です。2007年12月23日に亡くなりましたが、ジャズの世界では長寿とも言える享年82歳でした。
いつの時代に録音された音楽も、安定した演奏を聴かせてくれるオスカー・ピーターソンの音楽の価値をもう少し評価してもよいのではないでしょうか。このソロは、彼のピアノの名手ぶりをまざまざと感じさせ、ビルトゥオーゾぶりがうかがえるものです。スタンダード・ナンバー揃いですから、ジャズの初心者も満足させる内容なのが素晴らしいところでしょう。
ピーターソンの個性を一言で言えば饒舌なピアノと言えるでしょう。技術的に優れているのは勿論のことですが、華やかに軽やかに鍵盤を流れるがごとく弾く様は驚異的ですらあります。静かなバラード・プレイではそういう印象をもたないのですが、ラストの「A列車で行こう」のようにアップ・テンポで弾きまくる演奏は、ある種の恍惚感を引き起こします。これが彼の個性を表した演奏スタイルだと思っています。
「バイ・バイ・ブラックバード」でも感じられますが、元のメロディのモティーフを様々なヴァリエーションで聴かせていく手法は、後のジャズ・ピアニストに多大な影響を与えました。世間の人がイメージするジャズ・ピアノ演奏の典型でしょう。