ジョン・アバークロンビーと並んでECMを代表するギタリスト、ラルフ・タウナーによる1980年の作品です。彼のソロアルバムはこの作品以前にもリリースされていますが、このアルバムではライブ録音ということで完全に12弦ギター1本で勝負しています。1979年10月、ミュンヘンとチューリヒでのライブが収録されています。
このライブの特徴はタウナーオリジナルの楽曲だけではなく、たとえば「Nardis」(ビル・エヴァンス)や「Ralph's Piano Waltz」「Timeless」(いずれもジョン・アバークロンビー)の他人の楽曲もプレイしているという点です。もちろん正確無比の超絶テクニックに裏づけられている確かなで透徹したリリスズムは相変わらずです。タウナーは22歳(!)でギターに転向する前はピアノをプレイしていたことは有名ですが、当時のフェイヴァリッドはやはりビル・エヴァンスだったそうです。なるほど。
ギター1本でのソロライブというと、ギターに興味がない人にとっては冗漫に陥るのでは?とやや敬遠されてしまうようです。でも、心配は当然無用です。ギターという楽器がもつ表現力を限界まで引き出す力量と、クラシック理論に裏づけられた極めて純度が高い即興性から紡ぎ出される彼の音にはいつもながら驚かされます。
彼の音楽は「オレゴン」での活動から、「ワールド・ミュージック」の範疇として語られるケースが多いのですが、「癒し」とか「ヒーリング」などのありふれた形容を安易に許さない孤高の天賦を感じさせます。