原書はソロス自著=再帰性理論の原点であり、バイブルである。1988年に講談社から同書の日本訳版が「相場の心を読む」(以下、旧版)として初出版されて以来、原書を含め全てのソロス自著を読んできたが、これを超える著作はない。学生時代の私にファンドマネージャーという職業を選択させた本でもある。1988年当時、日本では未だソロスの知名度は低く、旧版は絶版となったため、中古本しかなかったが、現在は本書が新版として再出版されたわけだ。なお、本書も旧版で評価が高かった深谷氏の翻訳を踏襲していることが伺える。旧版との内容の違いは、前書きで、ソロスが再帰性の断続性に関する見解に修正を加えている点のみ。基本的に、同書以外の他の自著は、この重複または応用にすぎない。(あえて挙げれば、"SorosOnSoros"だけが違う自伝的観点で面白く、理論もやや同書より平易になっている。)旧版出版当時、同書(和訳)は難解と言われたが、「新ファンドマネジャー」著者のJトレインも語るように、原書も米国で同じ評価だった。確かにソロス最初の著作であり、表現に難解な面もあるが、私は、その後の著作を読む中で、パズルが解けていく快感を味わった。読む順番は好みだが、いずれにせよ、同書を避けて、再帰性理論を理解したとは言えないだろう。ソロスをものにしたい方は避けられない一冊だろう。