冒頭は懐かしの『アビイ・ロード』からジョージ・ハリソンが作曲した「ヒア・カムズ・ザ・サン」をオリジナルの雰囲気を大切にしながら見事に村治佳織が弾きこなしていました。リズムの切れ味は抜群で、多彩な表現力も少し聴くだけで伝わってきます。2分間という短い録音でしたが、リスナーを魅了する演奏でした。
一転してビゼー作曲、佐藤弘和編曲「ギターのためのカルメン組曲」は、技巧的なギター演奏の醍醐味を感じさせる佳曲です。『カルメン』の中から「ハバネラ」をはじめ、誰しもが慣れ親しんだ曲が、ギター1本で再現してありました。圧倒される演奏の1つでしょう。ギターでの演奏により、スペイン情緒が増したように感じました。
キース・ジャレットの「ケルン・コンサートのパート2」をギター1本で再現していたのにも驚かされました。透明感や懐かしさ、オリジナルを愛した人にも違和感なく受け取られる演奏でしょう。
ギルバート・オサリバン「アローン・アゲイン」、オリビア・ニュートン・ジョン「そよ風の誘惑」など40年ほど前の名曲を彼女の演奏で楽しめたのは僥倖でした。名曲を名演奏で聴くという醍醐味に浸っています。
「サウンド・オブ・ミュージック」の前奏がお洒落で心地よく響いたわけですが、ローリンド・アルメイダの編曲だからなのですね。
以上の楽曲とローラン・ディアンスの「フォーコ(リブラ・ソナチネより第三楽章)」や、アグスティン・バリオス「大聖堂」との親和性も感じ取れました。音楽ジャンルを超越して良い音楽は皆に認められていくのでしょう。
2010年6月24日から27日、ロンドンの「エアー・スタジオ」で収録されたものです。