OLやめて無職な芽衣子さんと芽の出ないバンドマン種田。
世間的に言うならば、超過料金は高いよ?な単なるモラトリアム延滞者だ。
どうにかしなきゃ。どうにもなんない。
小さな起伏はあるけれど、淡々と流れる日常。
ぶつかるのは怖い。否定されるのも、零れ落ちるのも怖い。
でもレールに乗って走るのはもっと怖い。
「ソラニン」はじゃがいもの芽なんかに含まれる毒だ。
放っておくと出てくる。取っちゃった方が安心して食べられる。
ずっと放っといたら、そのじゃがいもは食べられなくなり、捨てるよりほかにない。
ゆっくりと終焉を迎えるはずだったモラトリアムより先に、唐突に断ち切られたのは日常だった。
しかし失速し完全に止まったかのように見えたそれは、いつしかのろのろと動き出し、また何事もなかったかのように流れはじめる。
結局なにひとつ大きな救いがあったわけではない。
ただ、生きていく。きらきらもどろどろもぐちゃぐちゃも全部ひっくるめて抱え込んで生きて、これからも生きていくだけの、それだけの話だ。
心の掬い取り方が、自分にはとても合う作家さんだ。
この感覚を形にするとこんな形になるんだ、と、
目の前が少しだけ開けたような錯覚を起こさせてくれる、数少ない人。
これからもこの人の作品はチェックしていきたい。