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最も参考になったカスタマーレビュー
5 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
最新の成果を俯瞰する良書,
By Norio001 (東京都) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: ソマティック心理学 (単行本)
実際の実践の現場において人間の治癒や成長に取り組んできた人であれば、誰もが「心」と「体」の密接な関係性の重要性を実感していることであろう。実際、そうした心身の相補的な関係性を前提とした統合的な視野をそなえた実践者にとり、対話を主体とした一般的なワークというものが限定的なものであり、また、非効率的なものであるということは、実に切実な問題として認識されていることだろう。こうした問題意識にもとづいて、近年、心理学では、心と体の密接な関係性に着目する「身体心理学」(somatic psychology)といわれる分野が急速に発展している。本書は、そうした近年の動向と成果を簡潔にまとめた優れた入門書である。 本書の特色は、何よりもその包括性にあるといえるだろう。臨床心理の領域で活躍する優秀な実践者は、それまでの訓練や実践の過程をとおして出遭った技法や方法を組み合わせて、どくじの包括的なアプローチを構築する。しかし、往々にして、そこで問題となるのは、そうしたアプローチというものが、必ずしも人間の意識や身体に関する真に統合的な理解にもとづいて構築されたものではなく、むしろ、その実践者の個人的な資質や経験にもとづいた、限定的な視野にもとづいたものであるということである。結果として、そこで提供されるのは――「包括的」や「統合的」等の名称が冠せられているとしても――あくまでもその実践者の恣意的な選択にもとづいたアプローチとなってしまうのである。 こうした状況において求められるのは、今、世界中の実践者により開発・実践されている多様な技法を俯瞰したうえで、それらの本質を見極めて、それらの関係性を解き明かしていくということである。換言すれば、世界に存在する多数の貴重な洞察を整理して、人間の意識と身体を鳥瞰する見取図を描くことが重要となるのである。 そうした意味においては、Michael Murphy(1993)のThe Future of the Body: Explorations Into the Further Evolution Of Human Natureという作品が古典的な著書としてひろく知られているが、それから20年が経過して、最新の研究と実践の成果を踏まえた著書が日本人の研究者により執筆されたことを心より歓迎したいと思う。 今日の実践者が直面する最大の困難とは、世界が真実に飽和していることである。それに対処するためには、真実と真実を有機的に関係づける能力が必要とされる。本書は、そうした実践的な課題を克服していくための案内図を提供してくれることだろう。
4 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
心理学の中であまり扱われなかった領域を、幅広く、的確な視点から紹介,
By
レビュー対象商品: ソマティック心理学 (単行本)
まず、ソマティックとは身体のという意味、つまり、ソマティック心理学とは身体とこころのつながりを追求する、心身一如の学である、ということを確認しておこう。心身のつながりを重視する技法(瞑想、ヨーガ、深呼吸やさまざまな治療法)にはさまざまある。米国立衛生研究所の調査によると、このたぐいの技法・治療法を過去一年以内に実践したことのある人の数は2700万人を超える。少し遅れながら、日本においても心身ケアの技法は、看護の現場で常識として知られていることからより超越的な要素を含んだ実践までいろいろ見かけるようになった。現在のほぼ正統な精神医学の体系に収まらなくても有効な方法はさまざまあるのだが、また、フロイトやユングの弟子たちの実践の中に、またさらにそのあとの世代のセラピストたちの中に、すばらしいみのりがあるのだが、それらは日本では、十分フォローされていない。また、あまりに広すぎて、俯瞰するのに手ごろな本がない。 こうしたさまざまな治療法・ケアテクニックについて、事典・教科書のような作りにまとめられた労作が、この本である。著者自身が語っているように、久保氏は長年アメリカでこのような技法を渉猟している。現場を観てきたから語れることが、細部の記述からうかがわれる。しかも、一つの技法に弟子入りしたのでそれしか知らない、のではなく、さまざまな技法がそれぞれどのように位置づけられているかをていねいに説明してくれるのだ。 ストレスやトラウマは今や日常語になったが、これらのことばのより正確な意味、また、ストレスやトラウマとは、脳や心臓や皮膚で何が起こることなのかを、充実した図版でわかりやすく説明してくれる。そして、ストレスやトラウマに並んで現在注目の概念『マインドフルネス』についても、それが仏教に由来しどのような文脈で検討されてきて、現代人にとってどのような意義があるかを、きちんとまとめてくれる。 読みながら感心したのは、西欧版の心身一如の学を広く見ているので、たとえば身体接触のタブーについてどのような常識や共通理解があるかといったことに、きちんとした説明がなされていることだ。 本書のもう一つのメリットは、怪しい技法・人を確認するヒントも得られることだ。よくわからない技法を最新最善のもののようにもっともらしく語るのだ。少し知識があればこの自称ヒーラーは偽物だなとわかるのに、と感じることもある。 構成、文体ともに工夫され、力の入った図版があちこちに埋め込まれているので、関心を持つが専門家でない人にとって、専門書の手前のよい橋渡しになる(DSMのマニュアルを買ったが読み切れなかった人、多いでしょう?)。コラムもよく練られていて、野口整体とフェルデンクライスの出会いのエピソードは瞠目である。 注文をつけるとすれば、東洋版の心身一如の学については書かれていないこと。また、タイトルは、なじみのない『ソマティック』ではなく、『心身一如の心理学』(これも今ひとつだが)とか、もっと工夫ができなかったか。 精神医学や心理学に関心を持ちながら、大学などで教わる正統な心理学のちょっと外が知りたい人、また、トラウマやストレスを連呼する本に疲れた人は、本書を読んで得るものが多いだろう。だが、私が強調したいのは、看護やカウンセリングなどのケアの現場に関わる人の副読本・参考書として本書が読まれることだ。臨床でクライエントから耳にするさまざまな技法について、安定した視点で対応していくヒントになると思う。
3 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
心と身体に興味がある方に,
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レビュー対象商品: ソマティック心理学 (単行本)
最近、心と身体をテーマにした本は多いものの体系立てて書かれたものが見当たらなかった。この本は心と身体のつながり、ボディーワーク、心理療法、ダンスセラピーなどに興味があるという人のよい地図になってくれる。 それぞれ療法の背景や、最近の脳科学等の知見まで、高度な内容ながら分かりやすく書かれている。 ボディーワークなどの施術者で、その根拠を見つけたいという人にもおススメ。 地図とはいえ、各療法の説明は表面的な知識だけではなく、著書の体験を通じて書かれていると思われる部分もあり、立体感を感じる。 各理論が体系だてられた先には個人の成長だけでなく、より良い社会へとつなげていけるとの可能性も感じさせられた。
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