作者はSF的設定の中である「縛り」を設け、その縛りの中で謎を論理的に解くというロジカル・ミステリの大家。本作は「神麻嗣子」シリーズの短編集第5段。本シリーズは超能力の存在を前提にして、チョーモンイン委員会(読まないと分かりません)の美少女嗣子、美人警部の能解さん、売れない作家の保科の3人が絶妙なコンビネーションで事件に挑むというもの。しかし、前作あたりから作者のパワーに翳りが差して来ているようだ。レギュラー陣の登場が少ないのも本作のイメージを悪くしている。
「無為侵入」は謎自身が他愛も無く、真相はそれに輪を掛けて下らないもので読むものをガッカリさせる。「闇からの声」はフィルポッツの古典と同名のタイトルを付けるという大胆さの割りに、内容が残留思念を扱った安っぽい少女劇で脱力感しか味わえない。「捕食」はあり得ない偶然の裏に潜む歪んだ母子関係を扱ったものだが、発想が安直過ぎる。「変奏曲<白い密室>」はテレポーテーションを交えたアリバイ・トリックものだが、冒頭で超能力者が誰だか分かってしまい、物語の展開への興味を殺ぐ。タイトル作「ソフトタッチ・オペレーション」はもう「奈津子もの」と言って良く、同業のミステリ作家の話を入れたり、遊び半分で書いているとしか思えない。
個人的に作者に期待する、奇抜なシチュエーションでの華麗な論理展開など影も形も見られない。この低調ぶりはどうしてしまったのだろう ? 体でも壊しているのではないか。読者にそんな心配を掛けぬよう、アイデアが出ないなら休養する等して、また切れ味鋭いロジカル・ミステリを味あわせて欲しい。