要求管理を効果的に行うために、実践的なアプローチによって6つのスキルを説明している。担当者だけでなくプロジェクトとしてどうアプローチすべきか、どのようなスキルが必要かを解説している。すなわち、本書はプログラミングの本ではなく、ソフトウェアアプリケーションの要求管理について書かれたものである。
システムを構築するうえで最も重要なのは顧客の要求をいかに正しくシステムに反映するかである。しかし、現実においてこれほど難しいものはない。それは、顧客にとっての本当の要求を見出し、要求をシステムへ反映し、要求に対してシステムを評価するということが簡単にできるものではないからである。本書には、この要求管理に必要なスキルとアプローチ方法が書かれているのである。まさに、ソフトウェア開発の処方箋のようである。残念ながら、読者がここで書かれている方法をそのとおりシステム開発に適用しただけではシステム開発を成功に導くことはできない。大切なのは、ここに書かれているスキルとその方法に対する考え方である。そこを理解し、解説してある方法をカスタマイズしたり、別の方法を柔軟に用いれば、きっとシステム開発を成功に導くことができるだろう。
付録では、SEI-CMM(Software Engineering Institute-Capability Maturity Model)とISO9000における要求管理やRUP(Rational Unified Process)における要求管理についても触れている。RUPについては、『ラショナル統一プロセス入門』を参考にして欲しい。
ソフトウェア要求管理はシステム開発の重要な項目であり、本書はソフトウェア開発に関わるすべての人々に読んで欲しい。そして、「推薦の言葉」でヨードンも書いているように、顧客の立場にあたる人々にもおすすめしたい。実際に、要求の解決に関わるすべての人が対象といっていい内容である。(新保康夫)
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