この映画を見たのは4半世紀ぶりになります。どんな内容の映画だったかはすっかり忘れていて、何かやたらに各家庭で週末ごとにダンスパーティー=「ラ・ブーム」が催されていて、「フランスでは父親も母親も子どもも平気で浮気をするんだなあ」と誤った感慨を抱いていたものです。そんな年月を経ても主題歌『愛のファンタジー』だけはくっきり脳に記憶されていた、音楽の力は偉大です。
そういう訳で今回新しい発見が随所にあってびっくりしました。孫の恋愛を支援するおばあちゃんの粋なこと! 母親があの『禁じられた遊び』の少女役B.フォッセーで、あの映画で見せたつぶら真ん丸の眼が大人になってもそのままだったという驚きと、あの少女が嫉妬に狂って化粧品店をぶち壊したり浮気の結果夫以外の男性の子どもを身ごもってしまうと言う発展家ぶり。父親は我々の判断基準では風采の上がらないオヤジに見えるのですが、作中で「SEXYね」と少女に評価され…。
そして一番驚いたのが当のソフィー・マルソーの魅力です。「13歳にして既に今の成熟した時の前兆が横溢している!」確かに少女としてのあどけなさや顔の造形のシンプルさはあるのですが、ちょっとした仕草や表情のリアクション、映画の画面を支配する存在感はもう既に出来上がっているのです。彼女の魅力が横溢している『ラ・ブーム』ですが、冷静に見ると全然子ども向け映画にするだなんて迎合感はなくて、大人の恋の鞘当てが堂々と展開するばかりか、ヴイックもいっぱしの女性として描かれています。さすが幾たびの闘争で権利を勝ち取り抜いた国、フランスです。一途な恋物語と思いきやラストは大どんでん返し。ソフィー・マルソーのタレ目とぽってりした唇と陶然とした表情。でも等身大の女性ってこういうものかなあ、なんて変に達観した女性観を私は思春期にたたき込まれました。フランスは恋愛に関しては何枚も何十枚も上手なようですね。脱帽です。