著者のゴルデルは1952年生まれ。ノルウェーのベルゲンという美しい港町の高校で11年間哲学の教師をした後、首都オスロで作家生活に入り、『鏡の中、神秘の国へ』『カエルの城』など、児童・青少年向けの作品を発表し続けている。また翻訳は気鋭のドイツ文学者の池田香代子が担当、哲学者の須田朗が監修するという本格的なつくりも、本書が好評を博した1つの理由であろう。
本書のもう1つの特色は、「哲学史の宝石箱」であること。ソクラテスやアリストテレス、デカルトやカント、ヘーゲルなど、古代ギリシャから近代哲学にいたる西洋の主要な哲学者の大半が登場する。読者をファンタジックな世界へ誘いながら、ソフィーと一緒に彼らの概念をやさしく生き生きと読み解いていく手法は秀逸である。哲学というこの世界じゅうの物事の根源、存在の意味の解明をおもしろく描き、おとぎ話と融合させた作者の功績はとてつもなく大きい。(田島 薫)
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ソフィーを中心に、物語のなかで順を追って哲学の思想を知っていくながれなのですが、登場人物の会話などで話し言葉も混ぜつつ、わかりやすくしてくれています。「哲学」と聞くと、身構えて読んでしまいそうですが、物語的な部分がそれをやわらげているなと、読んでいて感じました。
我を忘れるくらいに読ませてくれる本ほど最高、というのが良い本だと思っていました。
しかし、この本は違いました。
読んでいると出てくる哲学者の思想の数々。それについて、ふと立ち止まって考える時間。「これは…じゃないか?…自分だったらどうするだろう?…こういう考え方もありか!…」
次々と続く自分との対話。これほど「自分」を意識させてくれる本は初めてでした。この考える時間は、それまでに感じたことのない、すごく楽しいひとときでした。
この本が哲学の入門書としてどうなのかはわかりません。
ただ、教科書に太字で並んでいる言葉の数々。短い説明でこれらの言葉を丸暗記していくよりは、より豊かな時間が楽しめるとは思います。
身の回りに、無造作に飛び交う言葉・考え・思想・・・。どれも正解なんて無いですが、自分が進んでいくうえで必要なものを選ぶことができる、そんなちからが生まれるきっかけになれる本だと思います。
確かに、この哲学教室の勉強も、一般の哲学本と比べるとはるかに面白いんだが、所詮は、「お勉強」は「お勉強」である。私のように、もともと哲学が好きな人は面白いが、私の友人のように「挫折」した人も多い。このお勉強の部分と、小説自体が、密接にリンクして表裏一体になってるという人もいると思うが、お勉強部分を、この4分の1に圧縮した方がどれだけ、多くの読者の心に本当に届き、心に残るかと、思うと残念である。著者は教師なので、キリスト教の伝道師のように、哲学を世に広めることが彼の使命と考えている節があう。だから、ついつい欲がでて、「このえさにせっかく食らいついてきた読者を逃がしてはいかん。カントだろ、スピノザだろ、おっとヒュームも忘れてはいかん。」、と、あれもこれも、哲学史のオンパレードとなってしまった。まあでも、印税稼ぐために1ページでも長く書く輩よりは、よほどいいが。
しかし、面白いことも事実。長いと思う人は、最初の2、3章の後、教授のお授業が始まったら、興味がなければところどころとばして、全体の構成をつかみながら、読み進むとよい。本当に哲学に興味があるなら、あとで、きちんとした、本を、いくらでも読めばよい。(実際、著者のわかりやすくするための説明は、時々かえってわかりにくくしてるところ多い。)
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