ソニーが最近(この本では2005年前後)思わしくない、一方新興企業であったサムスンの成長には目を見張るものがある。著者はこの二つの企業の経営プロセスとリーダーシップを比較分析している。著者はサムスンが素晴らしく、ソニーはダメだと紋切り型の説明をしているのではない。
サムスンは、会長に権限を集中した軍隊式経営スタイルであるが、これはサムスンが先進国の一流企業に追いつくいわゆるキャッチアップフェーズであったため、うまく機能した。一方、ソニーは創業者によるカリスマ経営において発展したが、世界のTOP企業となった今は専門経営者による経営が必要であるフェーズであるが、従業員が専門経営者による経営を受け入れる風土になかった。
ソニーとサムスンの明暗を分けたのは、経営スタイルの違いと考えるのは早計である。むしろキャッチアップフェーズにあるか、フロントランナーにいるかそのフェーズの違いと考えるのが妥当である。いまやサムスンはキャッチアップからフロントランナーにフェーズが変わっている。ソニーがフェーズを変える際に、カリスマ経営からの脱却に苦戦したようにサムスンも苦戦が予想される。それは、経営者の問題だけではなく、その企業で働く従業員のマインドセットつまり企業風土を変えることが難しいためである。