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本書はソニーの社史であり、それも同社の広報センター(現・広報部)がまとめたものである。こう紹介すれば、宣伝臭の強い無味乾燥な本を思い浮かべるかもしれない。だが「事実は小説よりも奇なり」で、いわゆる「企業もの」の類書と比べたときに、これほどおもしろい本はないと言っても過言ではない。
特に、テープレコーダーやトランジスタ式ラジオの開発に始まり、ポータブル・テレビ、ウォークマンと続く、文字どおり世界初の製品開発ストーリーが続々と出てくる前半部分は、飛び抜けておもしろい。ソニー・ブランドの誕生の経緯も興味をそそる。
ソニー1社の歴史だけにとどまらない。これはかつて日本全体がダイナミックに成長していた時代の雰囲気を伝える本でもある。戦後から高度成長期に至るまでの日本は、国全体がまだ貧乏だったものの、人々がみな破天荒で、愉快で、元気はつらつとしていたのだ。
ソニーの創業者の井深大は大学卒業時に東芝入社を希望したが、かなわず、小さな会社に入った。そのことが後の独立起業につながった、というエピソードが本書のなかで紹介されている。「ビジネスにもしもはない」というけれど、それでも万一、井深が東芝に首尾よく入社していれば今日のソニーは存在しなかったのかもしれない、などと考えることも楽しい。
井深だけではない。盛田昭夫、大賀典雄をはじめ、戦後日本を代表する同社の経営者たちの若かりしころのエピソードがたくさん盛り込まれている。なかには失敗談もあって、若い読者を勇気づける話も多い。
ただし、そのソニー自身、いまや確立された大企業であり、ある面ではオールドネームである。経営的にみると、くたびれた面がないわけではない。いつまでも創業初期のような、はつらつとした会社であってほしいし、ソニー以外にも、元気なベンチャー企業が日本にたくさん生まれてほしい。そういう期待が、読んでいて強まる本でもある。(榊原清則)
内容(「BOOK」データベースより)
ソニーの強さの秘密とは何か―。技術の力で日本の復興をめざした井深大と盛田昭夫は、終戦の焼け跡に町工場を設立。二人がめざした“自由闊達にして愉快なる理想工場”は、「他人のやらないことをやる」「世界中を相手に仕事をする」という夢に向かって東奔西走した。そしてその挑戦は、やがて世界企業への道を歩む「ソニー・スピリット」になっていく―。本書は、ユニークな商品の誕生秘話をはじめ、夢を追い続けた当事者しか知り得ない内容を含む珠玉のインサイド・ノンフィクションである。
内容(「MARC」データベースより)
「世界のソニー」であり続けるための「時間を超えたスピリット」と、それを携えて歩んできた当事者しか語り得ない現実を、ソニー自らが語る。98年刊の再刊。