特に、テープレコーダーやトランジスタ式ラジオの開発に始まり、ポータブル・テレビ、ウォークマンと続く、文字どおり世界初の製品開発ストーリーが続々と出てくる前半部分は、飛び抜けておもしろい。ソニー・ブランドの誕生の経緯も興味をそそる。
ソニー1社の歴史だけにとどまらない。これはかつて日本全体がダイナミックに成長していた時代の雰囲気を伝える本でもある。戦後から高度成長期に至るまでの日本は、国全体がまだ貧乏だったものの、人々がみな破天荒で、愉快で、元気はつらつとしていたのだ。
ソニーの創業者の井深大は大学卒業時に東芝入社を希望したが、かなわず、小さな会社に入った。そのことが後の独立起業につながった、というエピソードが本書のなかで紹介されている。「ビジネスにもしもはない」というけれど、それでも万一、井深が東芝に首尾よく入社していれば今日のソニーは存在しなかったのかもしれない、などと考えることも楽しい。
井深だけではない。盛田昭夫、大賀典雄をはじめ、戦後日本を代表する同社の経営者たちの若かりしころのエピソードがたくさん盛り込まれている。なかには失敗談もあって、若い読者を勇気づける話も多い。
ただし、そのソニー自身、いまや確立された大企業であり、ある面ではオールドネームである。経営的にみると、くたびれた面がないわけではない。いつまでも創業初期のような、はつらつとした会社であってほしいし、ソニー以外にも、元気なベンチャー企業が日本にたくさん生まれてほしい。そういう期待が、読んでいて強まる本でもある。(榊原清則)
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5 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
ソニー誕生,
By マキヨシ (秋田県) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: ソニー自叙伝 (ワック文庫) (新書)
当時、後発のメーカーであったソニーはどのようにして世界ブランドとなり、市場を開拓していったのか。そこには常に心に若さを持ったすばらしい、個性のある仲間との出会いがあり、成功へと導かれていく。井深さんと盛田さんの出会い、大賀さん、出井さん、苦労話、他を模倣しないモノづくりとアイデアなどドラマチックに書かれている。そして、ソニーの向上心が家電製品分野にとどまらず保険会社設立や音楽・映画業界への進出、幼児教育の開発などへと進んでいく。ソニーは「オンリーワンの発想を実行に移す勇気」、「自社の競争力と市場を見極められる目」を持った会社であることを証明し、私的にはヒントをくれたすばらしい一冊でした。
4 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
だからソニーはすごいのかな,
By カスタマー
レビュー対象商品: ソニー自叙伝 (ワック文庫) (新書)
プロジェクトXとか、ビジネスのバックグラウンドものやドキュメントタッチの番組が好きな人ならきっと気に入る。読んでいて引き込まれるのも盛田さんや出井さんの魅力??
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