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私は新書の中でも講談社現代新書が重要なテーマを最も平易な形で読者に提示することができるシリーズであると考えてきました。ですから、これまでも同テーマを様々な出版社から出している町田氏ですが、あえて本書を手にしてみたのです。
ソシュールの言語学がそれ以前の言語学と比較してどういう点が画期的であったのかから説き起こし、ソシュール言語学の後継者としてプラハ学派やコペンハーゲン学派、バンベニスト、マルチネ、イェルムスレウといった言語学者の業績が紹介されています。
ソシュールが提唱した記号学に触れた箇所は大変分かりやすく感じます。20年以上前に私が言語学という学問に出会った当時は、ソシュールを平易に解説した書物はありませんでした。ですから今こうして本書を介して近代言語学の祖といえる人物の所業について知ることができる若い読者をうらやましく思うのです。
後半、ソシュールの後継者的存在といえる言語学者たちの活躍にお話が移るあたりから、少々お話が難しくなる印象を持ちました。このあたりはもう少し目線を下げてもよかったのではないでしょうか。
また、単にソシュールの理論の紹介に終始せずに、著者自身の考えを
きちんともりこんでおくことも忘れていません。構造主義的な言語観を
否定し統語分析を前面に出したチョムスキーの言語分析を、改めて見直
すことを主張します。「意味」の問題を排除しない、構造主義的な言語
分析がこれからは必要だと言い、その具体的な分析の一端を提示しま
す。このあたりの主張は十分に納得のいく展開ですが、さて果てしてこ
うした言語理論が今後どのような発展をたどるのか、町田先生のこれか
らの動向に注目したいところです。
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