“Gotta,Gotta”などOtis Reddingが多用するフィルインの解説が載った遊び心も楽しい「ソウル辞典」、これまでと同様に「静と動」が生み出す劇的な効果を継承しつつ、それをたった1曲で表現しえた極めて重要な作品を収録している。Try a Little Tendernessがそれである。多くのカバーが存在する中、2段ロケット式の編曲によって最強のライブアンセムに生まれ変わったこの曲、ライブで繰り広げられる「巨大な赤ん坊が駄々をこねている様な」圧倒的パフォーマンスはこのスタジオ版でも充分うかがえる。アクセルとブレーキを巧みに使い分ける演奏に乗って躍動する姿は正に「ソウルシャーマン」といったところである。
その他、観客とのかけ合いを意識した自作tr.1や老成さえ感じられる名唱が光るtr.3などを収録。カバー曲で一際異彩を放つのは、ベースが大きな推進力となって爆走するDay Tripperで、これは後のY.M.O.のバージョンに少なからず影響を与えていると思える。ニューウェーブ・DevoがカバーしたSatisfaction(Otis Blueにも収録)といい、彼が若きパイオニアの一人であったことがわかるユニークな選曲と演奏がここにある。