地味で小ぢんまりとしたSF作品。今回初めて観たが、パッケージの裏に書いてある「娯楽性を極力廃し描かれた絶望的な未来像と、ベートーベンの『田園』にのせて語られる驚愕の真実」という一節が、この作品の特徴をうまくまとめている。ほかのレヴューにあるとおり、人口過剰になった未来世界で起こる食糧問題を扱った物語である。
ラストが素晴らしい。話のオチ自体はそれほど「驚愕」しなかったが、チャールトン・ヘストン演じる刑事が「驚愕の真実」を知った後が良かった。結局、その真実を人々に伝えられないまま、彼は抹殺されるのだろう。いわば正義が敗北するというわけで、それこそ「絶望的」な終わり方なのだが、ここに『田園』をかぶせることで、何とも不思議な効果が出ている。リアリズムから寓話に転調するといった感じだ。
あとソルを演じたエドワード・G・ロビンソンがとてもよかった。昔はギャング映画によく出ていたらしいのだが、とても味のある演技を見せてくれる。特にその表情が見ものだ。本作は彼の101作目の出演作品らしく、特典映像にその記念パーティーの様子が収められている。ほかに、すぐ殺されてしまうが、『ガス灯』や『第三の男』などの名作に出ていたジョゼフ・コットンが出演しているのも面白い。
万人向けとはいえないが、ちょっとクセがあって、なかなか面白い作品だと思う。