オーディオ屋は耳だけを信じる。計測器だけを信じている内は電気屋で、結果、こういう間抜けになるという見本。畑村教授の「失敗学」に事例登録推薦したいくらいだ。
インナーイヤータイプは携帯性を重視で、体が動くことが前提。装着して見れば判るが、この商品は、普通に歩くだけで耳の中でゴソゴソ大きな音がする。ドライバ部にケーブルがぶら下がっているため、ケーブルにかかる力がそのまま外耳道にかかるせいかと最初は思ったが、違う。
ケーブルの材質自体が「雑音良導体」なのである。
試しにケーブルを二本指で挟んで擦ってみると、擦った音がほとんどそのまま聞こえる。歩いただけでも服には擦れるから、ゴソゴソ音がする。耳の中に虫がいるようで極めて不快である。
試みに、どのメーカのものでも手持ちが有れば、机の上でドライバ部ケーブル1本を、両手を20cm間隔空けてつまみ、つまんだまま両手の間隔を次第に小さくしていって欲しい。両手の間隔をゼロにしても、この商品ではケーブルの捻れを整えると針金よろしく立たせることができる。この世界を開拓したSONY製品のケーブルは綿ひも並にクタクタだから、どうやっても立ちはしない。切れそうで頼りないクタクタ加減には、機械振動を伝えないという重要な役割があったのだ。
ケーブル剛性が大きいと、要するに衣服と外耳道の間に意図せぬ聴診器ができてしまうということだ。イヤーフック等緩衝材の役割を果たす保持機構を無くした時に、ケーブルが機械振動を伝達することを全く忘れていた、と想像される。
Sennheiserはいつからただの電気屋になったのか。オーディオメーカは本来こういう間違いはしないものだ。このゴソゴソ音に気づかないというのは極めて変だ(買って気づかない人もいるようだが)。同ブランドの保持機構無しのものは敬遠すべきだろう。
ファンとしてはエラクがっかり。