本書の前書きに「企画されたものではなく、偶発的なものだ」と書いてあるように、
野田努をはじめとしたライターが、ゼロ年代が終わるまさに今、感じていることを纏めた本であるため、
一貫性があるとは言い辛いし、賞味期限が長いタイプの本ではない。
雑誌の特集のような印象で読んで頂くのが、一番合っているのかもしれない。
本書に漂う閉塞感は、ミュージシャンとの対談を行わずに、
ディスクレビューが大半を占めているということに尽きる。
本書でも取り上げられている前野健太やS.L.A.C.K.などを招いていれば、
次の世代に何かを提示する事は出来たであろうし、
少なくとも自分は彼らの今の声を聞いてみたかった。
一方で高く評価出来るのは、ジャパニーズヒップホップへの言及が比較的多いという点。
この手のリーディングマガジンは広義でのロックとダンスミュージックで総括してしまう感があるので、
ゼロ年代後半になって更に盛り上がってきた本ジャンルを討論しているのは興味深い。
未来を描いた本ではないと言う事を頭に置きつつ(これは音楽が音楽である以上当然のことなのだが)
読み進めていけば、現状分析としては優れている書であると感じた。