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ゼロ年代の想像力 (ハヤカワ文庫 JA ウ 3-1)
 
 

ゼロ年代の想像力 (ハヤカワ文庫 JA ウ 3-1) [文庫]

宇野常寛
5つ星のうち 3.8  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

かつて社会は「大きな物語」に支えられていた。その効力が失われた今、私たちはどう生きていくべきなのか。ゼロ年代に生まれた想像力は新たな物語を提示しえたのか――。文学、アニメ、ゲームからテレビドラマまでを縦横無尽に論じ、停滞する「批評」を1冊で再起動させた、宇野常寛による衝撃のデビュー評論。2008年の単行本版発売以降、3.11後までを総括する、4万1千字の語りおろし原稿を追加して待望の文庫化。

著者について

評論家。1978年生。企画ユニット「第二次惑星開発委員会」主宰。批評誌<PLANETS>編集長。戦後文学からコミュニケーション論まで、幅広い評論活動を展開する。近著に『リトル・ピープルの時代』。

登録情報

  • 文庫: 480ページ
  • 出版社: 早川書房 (2011/9/9)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4150310475
  • ISBN-13: 978-4150310479
  • 発売日: 2011/9/9
  • 商品の寸法: 16 x 11 x 2.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.8  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
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6 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
何度でも繰り返そう、人は物語から逃れられない。(382ページ)

本書の目的は、2000年から2008年ごろまで、すなわち「ゼロ年代」の国内文化における「物語」の「想像力の変遷」を追うことである。
90年代に入って「ポストモダン」の名のもとに「大きな物語」が失効して社会的な価値が流動的になると、「小さな物語」が乱立する状態になる。1995年以降は「エヴァ」に代表されるようにそうした状況から逃げてひきこもるタイプの想像力が語られたが、それは「DEATH NOTE」の夜神月のような「決断主義」によってとって変わられるようになる。ゼロ年代においては「不安な社会」はもはや「前提」であり、そうした中で小さな共同体が互いに排外的性格を強めながら乱立する「バトルロワイヤル」状態をいかに乗り越えていくかが問題なのだ。「エヴァ」的に「ひきこもる」ことを選択したところでそれは「何もしないことを決断した」ことにすぎず、弱者として取り残されてしまう。かといって夜神月になることはバトルロワイヤル状況を悪化させるだけである。「ゼロ年代の想像力」はこの状況にいかに対峙してきたのか。

このような形でゼロ年代を整理したうえで、宮道官九郎や木皿泉、よしながふみの諸作品や「仮面ライダー」シリーズなどを分析していく。
これだけ幅広い作品を次々に論じていく力量というかバイタリティは大したものだと思う。また、(おそらく)これらの作品に対する分析も、著者の時代理解も、かなりの程度正しさを含んだものなのだろう。

しかしながら、本作に対しては幾つかの違和感を提示しなくてはならないのも事実である。
まず、本作は極めて論争的な書かれ方をしており、何人かの作家、いくつか作品に対しては容赦なく低い評価を突きつけている。それ故読者の反発を招きやすい作品だと言わざるを得ない。そのこと自体は批評として至極当然のことではあるのだが、「切り捨て方」に疑問を感じるものも多い(例えば144ページで舞城王太郎が2005年以降「誰の目にも明らかなように」迷走をしたと述べられているが、これは明らかに説明不足だ。事実がどうであったかとは無関係に、議論の作り方がやや性急ではないか)。そのあたりのフォローに脚注をもう少し使えばいいのに、と思う。本作の脚注は本当にただの「おまけ」であり、本文の議論を強化するものではない。
また、作品の選び方が非常に恣意的だ。自分が高く評価したい作品を配置しながら、自らの意見を構築していく姿勢自体は全く問題ないと思う。全てを論じることなど到底不可能なのだから。しかし、例えば週刊少年ジャンプを最も参考になるサンプルとして取り上げてゼロ年代の想像力にDEATH NOTEを絡めておきながら、間違いなくゼロ年代のジャンプで一番「売れている」はずのONE PIECEに対してほとんど(というか全く)言及していないのはどうかと思う。作品を選ぶときにもう少し「売れたかどうか」などの数値的なアプローチを意識しなければ、「ゼロ年代の想像力」をデッサンしようとする文章の姿勢として、あまりに主観的ではないだろうか(べつにジャンプを重視するのが間違いだとか、ONE PIECEが著者の意見から外れる作品であるから著者が黙殺しているとか言いたいわけではない。ここでも、脚注で軽く言及するだけで議論の強度が上がるはずなのに、何故それをしないのだろうと素朴に思うだけである)。
そして、本作には「自己言及性」が欠如している。著者がどう思っているのかはわからないが、あくまで一読した印象として、この作品は、ゼロ年代の想像力を素描した「大きな物語」の佇まいをしている。レビューとして数行で議論の骨子がまとめられる程に(私のまとめ方が適切かどうかはともかく)、本書の議論は「明確」である。さらに言えば、とても「わかりやすい」整理の仕方をしている部分が多い。これは語り方として「大きな物語」を志向するものであるように思う。しかしながら、本書の議論に照らし合わせる限り、本書もまた筆者による「小さな物語」でなくてはならない。そのことに対して自覚的でなければ、本書はその本質に置いて矛盾を抱えてしまうことになるのではないだろうか。

我ながら偉そうなことを書いてしまった。議論の「正しさ」に異論をはさむつもりは全くない。ゼロ年代を考える「羅針盤」、あくまでもその一つとして本書は有効に機能するのではないかと思う。
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12 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
 インターネット時代の高速化・細分化された現実に追いつけず、周回遅れの表現者と表現されたもの、をさらに周回遅れで追いかける評論家・批評家という図式。先行する評論家・批評家はさらにもう数周回遅れているのにそろってそれに気づいていないんだぜ、というのが本書のモチベーションの多くを占めているのがまた辛い部分。
 周回遅れでリンケージされている現実と創作物の関係性を表現している部分を除けば、作品論はおしなべて父性・母性とそこからの逸脱を中心とした古い図式の使いまわしではないかという印象あり(質はともかく本書と同じロジックで近代文学だろうが70年代少女マンガだろうが破綻なく語れるように読めるので)。評論家・批評家のレベルが落ちたという話ではなくて、本書で述べられていることを敷衍していうなら評論とか批評とかがリーダーシップをとれるような時代は遠い過去の話だという言い方になりますが、時代の空気を吸いまくっている後追い作品より、むしろ時代の空気と関係ないところで表現されている批評するに足りうるものを拾っていくというのが実は大事ではないのかという気はします。
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12 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
まとめた。 2012/2/11
形式:文庫
様々な作品、と言っても、ブームとなったアニメや漫画や特撮、ドラマを評価、斬った評論集ですが。
今の時代、評論に意味はあるのか。
そもそも批評に値する構造的強度を誇る作品が存在するのか。

僕にはどうもクドカン作品やデスノートやらにそれがあるとは思えない。
そもそも正否はどうあれ自分の言いたいことをひたすらまくしたてている印象がある。
そのための理論武装は凄まじいが、浅ましい気もする。
こういう評論家の出現こそ、今の時代がバトルロワイヤル的である証明となっている。

果たして宇野氏がこれから評論家としてどの程度の社会的地位を獲得できるのか、見ものです。
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