この「MASS OF THE FERMENTING DREGS(マスドレ)」というバンドは、
計算された複雑な音配置と伸びのある力強く澄んだボーカルが合わさり、
独特でクリアな不協和音を奏でる、
女2人、のちに男1人が加わったスリーピースバンドである。
少人数ながらその音圧と音密度は圧倒的で、
ライブはもちろんのこと、CDの音源からでもその迫力を十分に感じることができる。
私は、最初のミニアルバムを初めて聞いた時のインパクトにのまれて、
気付けば今作まで聞いていたタイプの人である。
しかし、上に書いたような、いわゆる中毒性の強い音楽は人によって評価が分かれる。
「痛快」と捉える人もいれば「不快」ととる人も少なくないだろう。
では、どう聞けばよりよい印象を持ちやすいのか。
個人的な考察として、
「耳に馴染みやすい」曲もしくはアルバムから聞いていくのが良いのではないかと思う。
これを踏まえて言わせてもらえば、今作は比較的「耳に馴染みやすい」アルバムであり、
マスドレ入門者、または一度マスドレを聞いてあまりピンとこなかった方にオススメできる内容となっている。
今までのアルバムよりボーカルの声がより聞き取りやすくマスタリングされており、
クリアな歌声をよりはっきりと実感できる。
そして、全体的な曲構成も耳に馴染みやすいものが多く収録されており、
静か目な曲からラウドな曲まで、さらには歌なしの曲も混ぜて作られている。
(エンハンスドのトラックは除いて)全体で9曲、40分未満と大変聞きやすい分量で、
気軽に聞けて、何度も聞き返すにはちょうど良い。
1曲目のタイトル曲で耳慣らしをして、徐々にマスドレ節を解放していき、
8曲目にシングル曲「ひきずるビート」で最後の盛り上げに入り 、9曲目「さんざめく」でしっかり締める
といった感じで、曲順にも配慮が行き届いているのがわかる。
ただ、従来のファンが初めのミニアルバム2作のような
徹底的なマスドレ節をこのアルバムに求めているとしたら、
必ずしも期待通りの満足度になると保証することはできない。
基準は、前回のシングルに収録された2曲をあなたが気に入るかどうか、であろう。
「ひきずるビート」「まで。」を中心とした楽曲構成になっていると言っても過言ではない本作は、
その2曲の好き嫌いが全体の印象に強く影響するといえる。
その点分かれるかと思い、星は4つにした。
ただ、確実に彼女たちの音楽は整理されてきている。
必ず近い将来、完成度のより高い作品を発表すると断言できる程に成長している。
逸材であることに間違いはない。これからも期待を込めて見守っていきたいと思う。
まずは試聴を推薦する。その時点で購入を考えた方は迷う必要なし。
過去作品からの流れをしっかりと残し、
「より多くの人に認められる音楽」も作れるマスドレを垣間見ることができる一枚。