映画「千と千尋の神隠し」のタイトルソング、「いつも何度でも」の歌詞にでてくるのが、「ゼロになるからだ」です。本のおびには、谷川俊太郎さんが、「からだが ゼロになるとき、それは 死のときだとも思えるが、生きていても そういう瞬間はあるのではないか。」ということばを寄せています。わたしが「ゼロになるからだ」と歌で聴いたときには、むしろ、生きている中でのことが描かれているのだと感じていました。「さよならのときの静かな胸」のあとに「ゼロになるからだが耳をすませる」と続くので、大好きな人にさよならをするときに、全身を感覚器官に感じてしまうほど敏感になって、その人を感じていたい気持ちから、自分の内側が無限の空間になってしまっている、そんな瞬間のことだと想像して!!いました。こんな風に人によっていろんな解釈ができる表現ができる、作者の「ことば」に対する感覚は、この本の中で、自由に遊んでいます。Wonders never cease, in being alive and dead.「生きている不思議 死んでいく不思議」はかくれたテ-マかもしれません。「オリ-ブ」という作品では、普通は詩にでてくるはずもないような負けず嫌いのおじさんの物語が、詩によって語られています。「三月のオペラ」は、語られている世界はまるで違うのになぜか、中原中也の「サ-カス」の空気を感じました。太宰治の心中をテ-マにした詩もあります。本をぱらぱらめくって好きなところから読んで、そして、再び最初から読み直して、どうして、この詩が、この章に?と考えるのもまた、「ゼロになるからだ」が満たされていく経験です。