量子力学の啓蒙書は多く出されている。「数式なしでも」というやつである。それらを何冊か読んで、よし、これで学部レベルの教科書でマスターだと誰しも思う。しかし、さすがに物理専攻生のための本は敷居が高い。ああ、素人にはここまでかと悲しくなってしまう。でも、大丈夫。救世主がちゃんと居る。それが本書である。ゼロから学ぶシリーズなので安心して取り組める。量子力学の肝の一つはシュレディンガー方程式であるが、それを解けるところま導いてくれる。「隊長」「シュレ猫」などのキャラクターが登場するので子供向きかと誤解される面もあるが、どうして、どうして、彼らがちゃんと量子力学のポイントを案内してくれるのである。ちゃんと読んだ人でシュレ猫ファンにならない人はいないはずだ。本書は良い意味で専門教科書への「つなぎ」である。端折るべき所は端折り、他の参考文献への道筋を必ずつけてくれる。そのような良書は案外ないものである。最新研究の成果も時折入っており、トレンドに敏感なサンエンスライターならではである。科学は本来庶民のものである。専門家に独占させることはない。本書を読んで21世紀型科学思考を身につけよう。