日本の世の中で「インドネシア」と言われてすぐに具体的なイメージが湧く人は少ない。現在のようにビジネス拠点としての発展ぶりがその筋では熱い注目を浴びていても、その事実は一般の人々に限って言えば10年前と比較してもあまり変わらないように感じる。「え?インド?」「インドネシアとバリって同じ国なの?」そのような声を聞くことがほとんどだ。そのインドネシアで長年暮らし、独力で事業を興し、維持・成長させている筆者の書いた「ビジネス書」が本書である。といっても、内容はビジネスのノウハウが網羅されている指南書ではない。海外で日本人が生きることについて、向き合ってきた、向き合わざる得なかった筆者の悪戦苦闘がユーモア、ペーソスたっぷりに描かれている。「インドネシアとは何か?」「インドネシア人とは何者なのか?」「・・・そもそも日本人って何なんだ!?」そういう自問自答を繰り返してきた人間だけが書けるエピソード満載で、最後まであっという間に読めてしまう。先入観や優越感の入り交じった固定観念でアジアの国を判断しがちな我々日本人にとって、読んでおいて損はない一冊だと感じる。個人的には、鳩川氏と筆者が心を通わせるエピソードにぐっときた。