生態学の好著である。とかく生態学の本は生物を必要以上に脚色しがちであるが、本書は生態学のメインストリームとも言うべき多くの中心的理論を、明快にかつ判りやすい例を示しながら紹介している。どんな学問でもそうであろうが、成熟するにつれて本が厚くなったり字が小さくなるものである。しかし、本当の学問の深みは、全ての枝葉をとって見たときにこそ、真価がわかるものであろう。そういう意味で、不必要に厚みのない本書は、生態学の今後のさらなる発展を予感させるものである。日本の生態学の教科書にありがちな、よそからの借り物ではなく、著者自身の研究に根ざしている内容は、説得力と迫力がある。
生態学に興味を持つ学生や初学者は必読の書である。しかし、国内で生態学者と標榜している人こそ、国際的に通用する生態学とは何か、その根幹を見つめ直すために読むべき本かも知れない。