コンパクトな本を選びたがる学生諸君は、500ページを超える本書にはたじろぐかもしれない。しかしゲーム理論に限らず、ウソや飛躍がなければ、入門者に対する学問の解説を100ページやそこらの紙幅におさめることはできない。よって、コンパクトな本ほど実は難しいか、場合によっては著者自身入門者が理解できるとは思っていないことが多い(著者には紙幅の決定権がないので、責められないが)。本書は、余裕のある紙幅を活かし、長年の教育経験を集大成しようとする著者の意気込みが感じられるという点でまず推奨したい入門書である。ゲーム理論に関する邦書は少なくないが、読者の理解を助ける努力が最大限に払われているという点において、本書の右に出る入門書は見当たらない。