時代の閉塞感に正面から向き合った山田玲司の傑作。
あるいは「change」あるいは「政権交代」によって「白黒つけた」はずの現在、人々はより閉塞感にさいなまれ、期待をかけた「ヒーロー」たちに幻滅し、ある人は先祖返りし、ある人はエキセントリックな新しいヒーローに期待する。白黒つけさえすれば全てのマイナスがゲームをリセットするように一瞬で消えてなくなるのか?ピュア(笑止)になって新たなスタートが切れるとでも言うのか?
何の事はない、私たちは1票を投じるだけで、それさえすれば後はヒーローが世界を良くしてくれるものだと思っている、山田が前作で批判した「世界をグレイにしたおじさんおばさん」のままなのだ。
しかし山田はそれを声高に糾弾するのではなく、むしろ市川を彼らの側に置く。そこに山田の才能と視点の優しさが現れる。
ページ数の関係であろうが、ダークサイドに落ちた市川の再生があまりに唐突である印象は拭えない。またあぶない刑事さんも述べておられるように、確かに結末はすっきりしない。しかし、それでも希望をつなごうとする山田の苦闘に私は感銘を受ける。
本作は山田ゼブラこそが真のゼブラーマンである事を示した作品である。