「世の中の裏側というのは、自分ではっきりと見抜かないといけない。いったいだれが儲けているのかということを考えていけば、案外、裏側が見えてくるのである」。
お金を通して見えてくる人間や社会の本質について「ナニワ金融道」で有名になった著者が考えをまとめた本。支えになっているのは、工業高校を卒業してから職を転々として様々な苦労をした経験、44歳にしてようやくデビューして社会派の漫画家として活躍して題材を集める中で見てきた人々や世の中の裏側、ドストエフスキーの「罪と罰」やマルクスの「資本論」などに対する著者なりの解釈である。
ところどころ辛辣ではあるが、著者は、ゼニを通して見えてくる人間の本質や欲望に対して、それをあるがままの興味深い対象として受け入れようとする姿勢を貫いている。だから、職業に貴賎はないというような世の中の立て前に対しては、自らの苦い体験に基づいてきっぱりと反論している。
「こういういい加減な世の中になってくると、人間には哲学が大切になってくる」「人間は自分が貧乏人であると自覚しているほうが、人生の傷は少なくてすむ」。
気軽に読める本だし、著者の主張の全てに賛同する必要もない。しかし、普段とは少し違った視点でお金や人間や社会について考えてみたくなるきっかけをくれるという意味で、面白い本だと思われる。