アーサー・ミラーの有名な舞台劇の映画化でこの作品を初めて観たときは大変衝撃を受けた。アメリカ映画といえば、ほとんどが娯楽活劇が主流のイメージがありましたが、まさかこういうアメリカ社会の深刻化や家庭問題に鋭く踏み込んだ内容の作品に出会えるとは思いもしなかった。私見だがこの名画こそアメリカの家族、人間関係、等の社会問題を初めて扱った先駆け的な歴史に残るアメリカ映画ではないでしょうか。とはいえ、ここで描かれている物語は今現在世界中の国で一番問題になっている事であり、同時にこの映画は時代を先取りした今の現在社会に警戒を鳴らす皮肉な作品でもあります。年老いたセールスマンを演じた、夫役でもあるフレドリック・マーチは、昔はやり手のセールスマンだったが、還暦を過ぎてからは昔のようにハツラツで活発的な仕事が満足にできず妻には愚痴ばかりこぼす始末。さらに自分は偉いんだと思い込んでいるような過信と妄想に取りつかれた人間だった。そのセールスマンの父親を中心に、彼の妻と自立性がない2人の息子を交えながら、この家族を土台に親子らの激しい言い争い、家庭の崩壊、断絶、若者達の挫折感、競争社会の醜さ、そして老いる事の悲惨さを、監督であるラズロ・ベネデクの格調高くもリアルな演出で描かれており、当時のアメリカ社会の生活風景もきちんと描写されていて白眉な表現力を醸し出している。そして単なるお涙頂戴のような深刻な展開になっていないのも認めて良い。年老いたセールスマンを力演したフレドリック・マーチの悲痛感と寂しさ漂う何とも言えない姿には言葉を失ってしまう。わがままな夫に我慢しながらも気丈に振る舞う妻役のミルドレッド・ダンノックの冷静沈着な演技が一際光っていた。他の役者達も素晴らしい。結末は明かせませんが、意味深い率直なラストだと思います。ただ1つ言えます。わかりやすく丹念・丁寧であり正当な真の人間ドラマである。