日系米国人部隊を描いた「二世部隊」(1951米)と同様に、余り描かれることの無い、第二次大戦末期イタリア北部戦線に居残り強固な防御陣地ゴシックラインを守るドイツ軍と、米国黒人兵部隊の第92大隊の実話が基となっている。米国での黒人差別を厳しく糾弾するスパイク・リー監督作品は、時として観る人間に苦痛をもたらす場合があるが、今回は、黒人兵4人とパルチザン狩りにおける村民大虐殺事件の生き残りの少年を絡めた寓話とする事で、連合国に降伏したにも拘わらず平和の訪れないイタリア北部の当時の状況と、日系の二世部隊と同様に最前線に立つ黒人兵部隊への白人上官の差別を描き、長尺ながら飽きさせず一気に見せる。登場人物が多く、複雑で冗長とみる人が多いようだが、それは今の日本人に共通する歴史の勉強不足と思われる。前線に取り残された黒人兵の砲撃要請を無視する白人上官の「黒人兵には掃除と料理をさせておけばよいのだ。」との発言が耳に残る。字幕では「黒人」と表記されていたが、上官は「シュー・シャイン・ボーイ(靴磨き)」と、馬鹿にした言葉を発していた。ここは台本通りの訳文にすべきで、黒人差別が分かり難くなってしまったのは残念。字幕の字数制限も分かるが、これは字幕制作者の怠慢。リー監督の攻撃的な作風を可とする方には物足りないかも知れないが、不合理の極致とも言える戦争を描く場合は、この程度が良いのではないかと思う。時系列順に戦争映画を観ようとしている者にとっては、欠かせない作品となった。