性についてこれほどストレートに生々しく描いた漫画は初めてだった。こういう作家は私が子供だったときはいなかったと思う。作者と歳が近いので、自分と同世代の人がこれほど鋭く性について捕らえているのは驚きだった。セックスシーンは沢山出てくるが、単なるエロ漫画ではない。体だけの関係と割り切って、後で心にやりきれないむなしさを感じたり、セックスをしている時以外生きている実感が持てなかったり。どこか倦怠的で、体と心が切り離されたような10代の少年少女がこのシリーズには沢山登場する。何だかとても痛々しい気持ちで読んだ。
よく道徳の教科書のような正論を吐く大人がいて、「中学生で売春なんて、人間のクズ」などという。しかし思春期誰もが体の衝動として性の目覚めを体験しているのでは。セックスなんて興味もなく、自分は勉学とスポーツ、清く正しい恋愛に青春を送りました、という顔をしている大人は、この漫画を読んで非常に嫌悪感を感じるかもしれない。自分の恥部を暴露されたような気がするのかもしれない。漫画に描かれている青春は明るく清くかっこいいものばかりだと思っていたけれど、青春なんて本当はぶざまでみっともないものだと思った。心と体とは必ずしも一緒に成長はしていかず、体の衝動のほうが先に立ってしまうこともあると思った。この巻の最後のシーンで、伊藤が奈津子に「今度会おうよ。話でもしよう。」というシーンは何だか胸を締め付けられた。二人が散々倒錯的なセックスをして、その後に心の触れ合いを求めるような台詞というのは何だか順番が逆のようだが、二人はこの後どんな関係になっていくのか、悲しいながら少し救われるラストだった。