通常、じっくりしっとりうっとり聴かせるエレキ・インストといえば、クリフ・リチャードのバックを務めていたことでも知られる英国代表のシャドウズ、そして日本のシャープ・ファイブといったあたりの名前が挙がるわけですが、いやいや、われらが愛するベンチャーズも負けてはいません(なんか、紅白の司会みたいだな)。
このアルバムはドンさんの企画・選曲・監修により、1960年から2002年までという、実に長い期間にレコーディングされた楽曲の中から選りすぐられた、ベンチャーズのバラード傑作選です。近年のステージにおいては必ずアコースティック・セットを設け、また、アクセントとしてスローなナンバーをプレイしているわけで、ベンチャーズにもこうした一面がある、ということは、ファンの間では知られているものの、それがこうしてまとまった形で提示されるのは、おそらくこれが初めてではないでしょうか。
通常、ベスト盤によく収められているようなナンバーの収録はごくわずかですが、惜しくもそのベスト盤『
ゴーゴー・ベンチャーズ(DVD付)』からは漏れた「ブルー・スター」や、イントロが流れてくると何故かコーフンしてしまう「京都慕情」、そして「北国の青い空」や「夕陽は赤く」といった“ポップス・イン・ジャパン”初期の名演をはじめ(「いとしのエリー」なんかも入ってます。これはこれでなかなか)、「アンチェインド・メロディ」「イフ・ウィ・ホールド・オン・トゥゲザー」などの、日本では比較的近年になってスタンダードとして定着したナンバー、そして「トゥモロウズ・ラヴ」「愛の女神ヴィーナス」といった隠れた名演まで、びっしり全27曲。“テケテケ”とはまた違ったベンチャーズの魅力、そして歴史が、この1枚で十二分に堪能できることでしょう。