「セレブ妻の犯罪」「カオリン」という言葉が、連日TVのワイドショーをにぎわせていた事が、遠い昔のように感じてしまうのは、あまりにも陰惨な事件が頻繁に起こりすぎて、もう感性がマヒしてしまったのかもしれない。
セレブ妻、三橋歌織が、夫の命を奪い、バラバラにして遺棄した事件のルポルタージュ。
大胆な手口から、最初は外国マフィアの仕業だと思われていたこの事件。
逮捕されたのは、ある女優似のすらりと背の高い、楚々とした綺麗な女性だった。
しかも夫はエリート・サラリーマン。
生活に困っていたわけではなかった。
歌織がなぜ、夫の遺体を損壊するまでの憎しみを抱いたのか〜当時誰もが不思議に思ったはず。
歌織は、N県出身の社長令嬢。
法廷供述や独自の取材による聞きとりから、歌織の父母の性格、しつけから育まれた、歌織の特性が浮き彫りにされていく。
夫と知り合う以前の、歌織の愛人関係や風俗店アルバイトについては驚いた。
常日頃、夫からDVを受けており、鼻の骨を折られてシェルターに保護された後に、夫の元にまた戻るという歌織の行動の不自然な点を指摘している。
「DVの囲い込み」という言葉と意味を、本書を読んで初めて知った。
また、歌織が「経済的に困る位なら、暴力を受けている方がマシ」という思考があったのではないか?「莫大な慰謝料を絞りとることが、夫に一発くらわせること」と考えていた節があるのではないか?と推察している。
夫を手にかけた後の、歌織の行動が詳細に記されていたが、そのエネルギーと不可解な行動と思考が異様だった。
どこにでもいそうなブランド好きで上昇志向の強い女性が起こした事件だからこそ、怖ろしい。
著者による煽情的な文体は気になった。