セレスティーヌは今年は家で、華々しくクリスマスパーティをしたいのに、アーネストはお金がないから、飾りもごちそうも用意できないと渋い顔。でも、セレスティーヌは二人で作ればいいと言い張り、ついにパーティの日になりますが……。
手作りクリスマス! それは、とってもアットホームで微笑ましく聞こえますが、世の中にはお金さえ出せば、すばらしく素敵な飾りや豪華なご馳走が売られているのです。そして、手作りのある意味での稚拙さを、「いとこのマックス」という少年は、容赦なく口に出して嘲笑います。このマックスこそ、世間の目。人が誰しも気にしてしまう、世の中という現実ではないでしょうか。
でも、やがてマックスも、アーネストのバイオリン、アーネスト扮するサンタのプレゼント(衣装は、ゴミ箱から拾ってきたもののリフォーム)、そして、楽しいお話にぐいぐい引き込まれ、楽しそうに目を輝かせるようになります。バンサンの書くねずみはよく似ていて、見分けが難しいので、子どもと一緒に、マックスの姿を探してみるのもとても面白いと思います。
常識という堅苦しい、いやなものに縛られた少年の心を溶かしたものこそ、手作りのクリスマスパーティという、奇跡なのでしょう。セレスティーヌもアーネストも、あんなに一生懸命準備したのですから……。現実の厳しさを避けて通らないバンサンの不屈の精神は、子どもにこびる本がふえているなか、とても貴重に感じられます。小さいけれど、確かな希望を胸の奥に残してくれる名作です。